第二百四十回 笑と笑と・【潰(つい)える】

た行

つぶれてすっかりだめになる。


「昨日呑んでた時にさぁ、“魚肉ソーセージを歯でいかに美しく開けられるか競う競技の創設者になりたい” って言ってたの、あれ夢?現実?」


「酔ってたけど確実に言ったな」


「夢じゃなかった…」


「俺の歯さばきなら西日本じゃ5本の指に入るな」


「さっきも見せてくれたもんね」


「ほぼ毎日鍛錬(実食)してるからな。ミキもその姿に惚れたんだべ?」


「そんなショーちゃんに残念なお知らせがあるんだけど…」


「何なに?すけとうだらの不漁?」


「漁獲量は安定してるから安心して。ほらこれ。今日買ってみたギョニソ。手で開けてみて」


「手で?反則じゃね?」


「基本は手ってこと思い出して」


「どれどれ…うわ何これ?めちゃめちゃ開けやすいじゃん」


「でしょー。私は開けるの苦手だから助かるわ。これでもう魚肉が爪に挟まらなくていいし」


「マジかー…。俺はあの、申し訳程度の切り込みしか入ってないストロングギョニソで技を磨いてきたのに…」


「企業努力によってひとりのアスリートの夢が潰えたか…」


「…たまにでいいから旧態ギョニソも買ってくれる?」


「もちろん。私もショーちゃんの投げキッス開け、嫌いじゃないしね」


【談】
このネタを書いているときに、偶然にも(?)タモリ倶楽部で “ウエットスーツ早脱ぎ選手権” が開催されていたので、是非ギョニソ歯開けにもスポットライトを当ててほしいです。出場の際には減点対象とならぬよう、ネイルの扱いにだけは気をつけたいと思います。

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