第二百五十九回 笑と笑と・【賜物】

た行

あることの結果として現れたよいもの、または事柄。成果。



「…さぁサトミ選手、出だしに注目です。…まずはどんぶり、茶碗などを並べているようですね」


「土台が大事になってきますからね」


「さぁそして平皿を…テンポよく並べていきます」


「大きさ順に並べているのがポイント高いですね」


「さぁそして順調に積み上がっていますが…おーっとここで卵焼きフライパンの登場だー!」


「どうバランスを取るのか見ものですね」


「さぁサトミ選手どう出る…?おーっとここで…?菜箸を…?交差したーっ!」


「立体交差、考えましたねー」


「間にフライパンを挟み、フィニッシュ!見事な仕上がりですねー」


「芸術点も非常に高い。結果が楽しみです」



「放送席、放送席。全日本食器洗い積み上げ選手権、日本一に輝きましたサトミ選手にインタビューです。サトミ選手、おめでとうございます」


「ありがとうございます」


「まずは結果を受けてどうですか」


「そうですね、日頃の鍛錬の賜物だと非常に嬉しく思います」


「授賞式の際、腕を交差させて観客席にハンドサインを出していましたが、あれは…」


「そうですね、晩酌の中ジョッキを洗わず朝まで放置していた旦那に対する抗議として掲げました」


「なるほど。以上、現場からお伝えしました」



【談】
食後の洗い物、という苦行に対する心痛を少しでも和らげるために、このような妄想で日々を切り抜けています。

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