第二百五十八回 笑と笑と・【お鉢が回る】

あ行

自分へ順番が回ってくる。自分の番になる。



「えっと、風船と、ガーランドと…。これでOK…かな…」


「お姉ちゃん、それ何?」


「あぁこれ?明日友達の誕生日会サプライズでやるんだ。その小道具」


「へぇー。100均で買ったの?可愛いー。…ってか何か…お姉ちゃん暗くない?」


「明日8人くらいのいつものグループでやるんだけど、ちょっと心配ごとがあって…」


「心配ごと?」


「ハルカ、私の誕生日覚えてる?」


「えー?当たり前じゃん」


「11月29日、って覚えにくいよね」


「…うん…まぁ…どっちかっていうとね…」


「私にもお鉢は回ってくるのだろうかって、ちょっと考えちゃって…あぁでも明日の誕生日会は楽しみなのよ。喜んでくれたら嬉しいし」


「お姉ちゃん、何の慰めにもならないかもしれないけど、11月29日は林家ぺーと岡野と誕生日一緒なんだよ。これ豆」


「本当になんの慰めにもなってないし、二人目に関しては誰よ」


「水ダウでやってた。林家一平は身内アドバンテージでちゃんと覚えてたよ。だから安心して。私も絶対忘れないからさ」


「ハルカ…ありがと。私も絶対忘れないからね」


「うん。岡野のことも忘れない」


「いやだから誰よ」


【談】
AKB48の “涙サプライズ” の歌詞に、“クラスメイトが集まって準備したのさこっそり” とあるのですが、そのクラスメイトひとりひとりに、きちんと順番に祝ってあげただろうか…とついつい余計な心配をしてしまいます。そう考えると涙サプライズで流れた涙、それ純粋な嬉し涙だよね?と邪推が止まりません。

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