第三百二十一回 笑と笑と・【予定調和】

や行


予想する流れに沿って事態が動き、結果も予想通りであること。





「寝かしつけ、たまに俺変わるじゃん。ママみたいに絵本読んであげてんだけど、なーんか食いつき悪くてさー。何が違うんだろ?」



「読んでる声聞こえてくるけどさ、もっと基本に忠実に読んであげたほうがいいと思う」



「えー?…こう言っちゃなんだけど、絵本って読むのちょっと退屈じゃん。だから俺なりのアレンジ加えてるんだけど…」



「いーい。子供はねぇ。予定調和が好きなの。で、いつもの調子で、いつものストーリーを聞きたいのよ。アーティストのライブと一緒」



「ライブ?」



「青春時代に聞いたあの曲を生で聴きたい!と思ってたのにライブアレンジバージョンだとがっかりするでしょ」



「確かに…」



「ユウマは “おつきさまこんばんは” のコアなファンなのよ。だから退屈だろうけど、いつも同じ調子で、そのまま読んであげて」



「…分かった。客席に向かってマイク向けるパフォーマンスも自重するわ…」



【談】
良かれと思ってびっくりする場面などでいつもより大げさにやってみせると、“そこまで求めてない” と冷めた目線を返されたりするので、なるべくフラットに読むようにしています。

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