第四百九十四回 笑と笑と・【チャネル】

た行

集客するための媒体、流通経路。




「ねぇお母さん、見てー」




「ん?なぁに?」




「ほら、このたい焼き屋のおじさん、この服どこで買ったのかなぁ?」




「え?…この鯛の柄の服?」




「うん。そう」




「うーん…。やっぱり…しまむらかなぁ…」




「しまむらかぁ。変わった柄の服もいっぱい売ってるもんね」




「いや待って。…おじさん自ら手掛けたのかもしれない」




「企業コラボってこと?」




「そう。ドムドムバーガー的な」




「なるほどー。多角的なチャネルを持つことによって、新たな顧客を獲得していくのは企業戦略のひとつだしね」




「 (…絵本の挿絵ひとつでおじさんのマーケティングコンセプトにまで話が及ぶとは…) 」




【談】
実際には息子の絵本に描かれていた挿絵を娘 (小6) が見つけ、”よっぽど鯛好きなんだねーw” と笑っていたのですが、私としてはついつい ”ねじりはちまきにステテコ、藍染めエプロンに裸足で下駄。おそらく入手困難であろう鯛柄の鯉口シャツ (ややこしい) ” という ”たい焼き屋のおやじには是非こういう格好でいてほしい” という万人の理想のスタイルを手抜かりなく実践しているところにおやじの並々ならぬ職人としてのこだわり、矜持を感じ思わず胸が熱くなってしまいました。ちなみに絵本のストーリー自体はほっこりとしたものです。

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