第二百四十一回 笑と笑と・【着眼点】

た行

目のつけどころ。ねらい。


「またこれもか…うーむ…」


「ササキ先生、どうかされました?」


「いやね、出した宿題が “好きな言葉とその理由” なんですけど、みんな答えがほぼ同じで…」


「そうですか…ちょっと見させてもらっていいですか?」


「どうぞ。みんな揃いも揃って好きな言葉は “ありがとう” で、理由は “嬉しいから” なんですよねぇ」


「本当だ…まぁ定番な言葉ではありますけどね」


「決してそれを否定する訳ではないんですけど、もう少し個性が欲しいというか…」


「それでいうと、うちのアオキはなかなか個性的な答えですよ」


「ナカガワ先生」


「2組も同じ宿題でしたっけ」


「これなんですけど」


「どれどれ…」


「“僕の好きな言葉は ありがとう です。それもただのありがとうではなくて、豆乳のパックをたたんだ時に出てくる ありがとう が好きです 理由はたたむのめんどくさいなーと思ってたけど、頑張ってたたんだから、ほめられたような気持ちになるからです”」


「アオキ君…」


「着眼点がすごいな…」


「明日の朝会で紹介しようと思ってます」


【談】
思いがけず労をねぎらわれたことに心がほっこりとし、“たたんでくれてありが豆乳” というダジャレもすんなり受け入れられます。

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