目のつけどころ。ねらい。
「またこれもか…うーむ…」
「ササキ先生、どうかされました?」
「いやね、出した宿題が “好きな言葉とその理由” なんですけど、みんな答えがほぼ同じで…」
「そうですか…ちょっと見させてもらっていいですか?」
「どうぞ。みんな揃いも揃って好きな言葉は “ありがとう” で、理由は “嬉しいから” なんですよねぇ」
「本当だ…まぁ定番な言葉ではありますけどね」
「決してそれを否定する訳ではないんですけど、もう少し個性が欲しいというか…」
「それでいうと、うちのアオキはなかなか個性的な答えですよ」
「ナカガワ先生」
「2組も同じ宿題でしたっけ」
「これなんですけど」
「どれどれ…」
「“僕の好きな言葉は ありがとう です。それもただのありがとうではなくて、豆乳のパックをたたんだ時に出てくる ありがとう が好きです 理由はたたむのめんどくさいなーと思ってたけど、頑張ってたたんだから、ほめられたような気持ちになるからです”」
「アオキ君…」
「着眼点がすごいな…」
「明日の朝会で紹介しようと思ってます」
【談】
思いがけず労をねぎらわれたことに心がほっこりとし、“たたんでくれてありが豆乳” というダジャレもすんなり受け入れられます。
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