好きなものばかりを選びとること。えりごのみ。
「はぁーぁ…婚活…いい男がいない…」
「アンタねぇ、高望みしすぎなのよ」
「そんなことないってば」
「じゃあ条件は?」
「全然高望みなんてしてないのよ。普通に仕事してて、普通のルックスで…それこそ星野源くらいの見た目で全然…」
「…おふざけでないよ!(パァン)」
「(向こう手で…ビンタ…)な…お姉ちゃん…何するのよ…」
「いーい。アンタねぇ、婚活界における星野源は、自動販売機におけるオレンジジュースなの」
「…オ…オレ…」
「…そう。しかも100%」
「そんなの…どこの自販機にも売って…」
「黙らっしゃい!(パァン)」
「(今度は反対側で…!)…い…痛い…」
「ないのよ。どこにでもありそうでしょ?びっくりする位ないの。ぶどうだのりんごだのはあるのに。今すぐビタミンを補給できる100%のオレンジジュースはヤクルトくらいレア自販機にしか売ってないのよ…!」
「し…知らなかった…。お姉ちゃん、私、目ぇ覚めたわ…」
「分かればいいのよ。分かれば。ちなみにアンタ、トマトジュースは好き?」
「え…あんま好きじゃない…」
「知ってる。私もそんなに。でもねぇ、トマトジュースって、意外とどこの自販機にもあるのよ。世間的には需要が高いってことね」
「そうなんだ…普段飲まないから気付かなかった…」
「自分の好きなものばっかりより好みしてないで、たまには違うジュースにもチャレンジしてみなさい」
「…分かった…今度チェリオ飲んでみるわ…」
【談】
パーキングエリアでオレンジジュースが飲みたくなり、自動販売機が立ち並ぶコーナーに行ってはみたものの、8台ある自販機全てになかったことにはさすがに驚きました。歩き疲れたときなどは体がビタミンを求めて猛烈にオレンジジュースが飲みたくなるのですが、トマトジュースの意外に高い普及率を見るにつけ、大多数の人はこれでビタミンを補給しているのか…とそこに己とのギャップを感じずにはいられません。
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