第百六十四回 笑と笑と・【いかんせん】

いい方法が見いだせないことを表す。残念にも。

「今日スーパー行ったときエコバッグ忘れちゃってさ、何かないかなーって車の中探したら、取っ手のない茶色い紙袋があったからそれ持ってったの」

「紙袋…外国のスーパーみたいだな」

「そうそう、パリジェンヌよろしく買い物したらぁって強気で行ったんだけど、いかんせん買うのは鍋の材料だからさ、袋の口からはみ出てるのがバゲットとりんごじゃなくてネギとしめじなのよ」

「ザ・日本の食卓だな…」

「小粋なパリっ娘にはなれなかったわ…そろそろいいかな？」

「この鍋が出来るまでにそんな苦労があったとはね…いただきます」

【談】
バゲットについて色々考えていたら、中学生の時にヤマザキのフランスパンの端と端を先に食べて姉に猛烈に怒られたことを思い出しました。一番美味しいところを姉より先に早く食べねばと焦り暴挙に出た自分。夕食後のおやつにフランスパンをそのまま生でかじっていた自分。若かったなと思います。