第二百五十六回 笑と笑と・【徒党】

た行

ある目的のために仲間や一味などを組むこと。また、その仲間や団体。




「うーん…お弁当ビミョーにスキマ空いちゃったなぁ…どーしよ…」



「そんな時は〜…オレ達の出番だ〜‼︎」



「え?何?わー!何か喋ってる!」



「情熱のレッド!ミニトマト!」



「癒しのグリーン!ブロッコリー!」



「ポップなイエロー!コーン!」



「地味すごブラウン!ちくわ!」



「清純ホワイト!キャンディチーズ!」



「弁当のスキマ、許せない!」



「ココロのスキマも埋めちゃうゾ!」



「5人揃って〜、スキマレンジャー!(シャキーン)」



「わーすごーい!何かチマチマ動いてるー!かわいい!あぁ…ムービー撮れば良かった…」



「さあ奥さん!オレ達を使って弁当のスキマを埋めてください!」



「うんうん、ピンチだと思って出てきてくれたんだねーありがと。せっかく徒党を組んで出てきてくれたとこ申し訳ないんだけど…うん、ごめん、…今回は…いいかな…」



「え…(絶句)」



「な、何で?」



「うん、まずミニトマトね。もうすでに2つ使っちゃってるんだ。さすがに3つ入ってたらちょっとくどいよね。そしてブロッコリー。茎の部分をどうするか決めてないから、まだ引っ込んでてほしいんだ。次コーンね。さっきフライパン洗っちゃったからバターコーンとか作りたくないのよ。明日子供らとクッキー作るからバター取っときたいし。んでちくわ。ちくわ君は今日の煮物のメンバーが貧弱だからそっちにまわってほしいんだ。最後キャンディチーズね。ごめん、旦那固形チーズNGなんだ。とろけてるチーズはOKだけど。意味分かんないよね。だから君は子供用なんだな。…もうホント…ごめんねぇ」



「え…あ…そうなんだ…」



「…じゃあスキマは?」



「あー。ウィンナーの向き変えて、仕切り寄せてご飯ゾーン拡大して、のり弁にするわ。…という訳で冷蔵庫戻ってもらえるかなー?あ、でもね、スゴいカッコよかったよ。ぱちぱち。拍手拍手〜‼︎」



「(ざわ…)」



「えー?今日これで終わり〜?」



「せっかくチルド室借り切って練習したのにぃ…」



「キャプテン、これでもう解散すか?」



「…仕方ない。通常の業務で出番を待とう…」



「のり弁にメイン張られたら立つ瀬ないよな…」



【談】
ちなみに、奥さんはブロッコリーの茎が苦手で普段は冷凍ブロッコリーを買ってるけど、たまたま丸ごと一株もらう機会があって、どうしようかなと思案しているうちにブロッコリーに出てこられて若干気が立ってしまった、という裏エピソードを補足しておきます。

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