第二百二十一回 笑と笑と・【なきにしもあらず】

な行

ないわけではない。ないとは限らない。少しはある。


「…ちょっと衝撃的な商品を見つけたんだけど…」

「そんなに?」

「このカタログに載ってるんだけど見てくれる?」

「なになに… “履いていることを忘れるパンツ” …」

「ズボンのほうね」

「…ふむ…いや…これ忘れちゃダメじゃないか?」

「…あ、ヤバイ!履いてくるの忘れた!やだ今私パンツ1丁じゃん!どーしよ………あ、なーんだ、履いてるじゃん!軽すぎて忘れてたわ♡」

「…度を超えたうっかりさんに与えてはダメだな…」

「履いていることを忘れるパンツを忘れる可能性、無きにしもあらずだな…」


【談】
下着や生理用品など “見えない” ところに仕込む系の着衣は “付けていることを忘れる” ことが売りになるとは思いますが、体の “ガワ” の着衣に関しては、自動車の運転音が全くしないと近づいてきた時に分からない、という危険を回避するためにある程度の騒音が必要なように、かすかに纏わりついてくる煩わしさは多少必要なのでは…と思います。

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